大腸内視鏡検査(大腸カメラ)のご案内
大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡(カメラ)を挿入し、直腸から盲腸までの大腸全体を直接観察する検査です。大腸がんやその前段階であるポリープ、炎症性疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)を早期に発見し、診断するために非常に重要です。特に、便潜血陽性、腹痛、便通異常(便秘・下痢)、血便などの症状がある方、ご家族に大腸がんの既往がある方、40歳以上の方は定期的な検査をお勧めします。
大腸内視鏡検査の目的
- 大腸がんの早期発見・診断
- 大腸ポリープの発見と、可能な場合の切除(日帰り手術)
- 炎症性腸疾患の診断と評価
- 血便や腹痛、便通異常の原因究明
検査の前処置(準備)について
精度の高い検査を行うためには、大腸内をきれいにすることが不可欠です。前処置が不十分だと、小さな病変が見逃される可能性があります。医師や看護師の指示に従い、確実な前処置をお願いします。
検査前日
消化の良い食事(検査食など)を摂っていただき、夕食後(通常21時頃)に指定された下剤を服用します。
検査当日
朝から絶食です。検査開始の数時間前から、約2リットルの腸管洗浄液(下剤)を数回に分けて服用していただきます。これにより大腸内がきれいになります。ご自宅での下剤服用が不安な方や、遠方からお越しの方は、院内での下剤服用も可能ですのでご相談ください。
検査の方法と流れ

1. 検査着に着替えていただきます。
2. 検査台に横になり、鎮静剤(眠くなる薬)をご希望の方には点滴から投与します。多くの方がリラックスして検査を受けられます。
3. 肛門から内視鏡をゆっくりと挿入し、大腸の一番奥(盲腸)まで進めます。
4. 内視鏡を引き抜きながら、大腸の粘膜を隅々まで詳細に観察します。8分以上の観察時間を取ることが推奨されていますが、当院では15分以上の時間をかけて観察を行っています。
5. 検査時間は通常30分~40分程度です。ポリープを切除する場合は、もう少し時間がかかることがあります。
6. 鎮静剤を使用した場合は、検査後にリカバリースペースで2時間ほどお休みいただきます。
【鎮静剤を使用する方へ】
鎮静剤を使用した場合、検査後はご自身での自動車・バイク・自転車の運転はできません。公共交通機関またはご家族の送迎でご来院ください。運転して来院後、帰りはタクシーで帰ることは可能です。その際は、車は駐車場に停めて置いて後日取りに来てください。
内視鏡治療(日帰り大腸ポリープ切除)
当院は、入院設備の無い「無床診療所」ですが、大腸内視鏡検査中に発見されたポリープに対して、日帰りでの切除治療を行っています。
日帰り切除の対象
主に10mm程度までのポリープが対象となります。大きさや形状、個数によっては、入院による切除が必要と判断し、連携する医療機関へご紹介する場合もあります。安全性を最優先に考え、慎重に適応を判断いたします。
切除後の注意点
ポリープ切除は手術にあたります。切除後は、出血や穿孔(腸に穴が開くこと)などの偶発症のリスクがゼロではありません。そのため、検査後1週間程度は、飲酒、激しい運動、長時間の移動や旅行などは控えていただく必要があります。万が一、腹痛や血便などの異常があった場合は、速やかにクリニックにご連絡ください。
検査費用について
保険診療の場合、負担割合によって費用は異なりますが、目安は以下の通りです。
- 観察のみの場合: 約1,800円 ~ 17,000円 程度
- ポリープ切除を行った場合: 約6,000円 ~ 25,000円 程度
※別途、診察料・薬剤料などが必要です。
※切除したポリープの数や大きさにより費用は変動します。
検査の質について - ADR(腺腫発見率)-
ADR(Adenoma Detection Rate:腺腫発見率)は、大腸内視鏡検査において、将来がんになる可能性のある「腺腫性ポリープ」を発見できる割合を示す指標です。この数値が高いほど、質の高い検査が行われていることを意味し、将来の大腸がん予防効果が高いとされています。
一般的にADRは25%以上が望ましく、消化器内視鏡専門医では30%以上が期待されます。当院では、お一人お一人に十分な観察時間を確保し、丁寧な挿入・観察を行うことで、高いADRを維持するよう努めています(R6年: 68%, R5年度: 74%, R4年度: 65.8%,全年齢を含む)。1日の検査件数を制限することで、質の高い、見逃しの少ない検査を提供することを心がけています。
内視鏡洗浄・消毒について
当院では、日本消化器内視鏡学会のガイドラインに準拠し、徹底した内視鏡の洗浄・消毒を行い、患者様ごとに安全な検査を提供しています。

内視鏡本体は、丁寧な手洗い洗浄の後、オリンパス社製の専用洗浄消毒装置(OER-6)を使用し、高水準消毒薬による徹底した洗浄・消毒を行っています。これにより、感染症のリスクを限りなく低減し、安心して検査を受けていただけます。
大腸内視鏡検査に関して、ご不明な点やご不安なことがありましたら、どうぞお気軽に当院スタッフまでご相談ください。